第12章 おつかい
『いいい痛いです!背が縮みます!縮ませないで下さい!』
「へーそうか」
『痛い痛い!って余計に力入れてるじゃないですか!』
そりゃ一方的とはいえ約束を忘れてたあたしが悪いが頭を鷲掴みにすることないだろうと怒る
口には出さないが文句を言っていると、思っていることがバレたのか部室についた瞬間一発チョップをもらった。解せない
そうして何の用かと頭を押さえながら彼を見ると、A4を4つ折りしたくらいのメモが掲げられている
『虹村先輩』
「なんだ」
『嘘ですよね』
「本当だ」
『あり得ないです』
「オレからの愛のこもったプレゼントだ」
『こんな愛のこもったプレゼントはいりません』
彼が持ってたのは虹村先輩の愛がこもったプレゼント。ならぬ買い出しのメモだ
かなりの人数が居ることと最近自主練する人も増えて備品の注文が追い付いていないらしく、今回買い出しになったそう
「大丈夫だ。行きは上りが多いが帰りは下りが多いからな」
『それあたしに死ねって言ってるんですか?』
「お前を殺したらオレが赤司に殺されるわ」
『征十郎返り血似合いそう、あはは痛っ』
笑っているとチョップをされた。別に笑うくらいいいじゃないかと打撃された箇所を撫でる
痛みが落ち着いてからずらりと並んでいる買い出しのメモを、風で飛んで行ったりしたら困るからと携帯で写真を撮った
「とりあえず明日学校は休みだが部活はある。その時に家から直行で行ってからこっち来い」
『はーい』
「私服で行ってそのまま学校来るなよ」
『…はい』
そうか、私服で行ってそのまま学校に来ちゃいけないのか、つまりこの目立つ制服でスポーツ用品店に買い出しに行くのかとため息を吐く
いつもより遅く家を出られるので少し寝れるかなと、それだけラッキーだと言い聞かせた