第12章 おつかい
『あたしを見ていてね』
「名前さんをですか?」
『うん。目を離したら駄目だからね』
「はい」
テツヤの言葉を聞き、あたしは青峰とテツヤ2人の目線がこちらを向いていることを確認する
あるタイミングでボールをかなり高く上げるとテツヤと青峰の目線はボールに行き、その隙に彼らとの距離を詰めた
『ほら、もう目を離してるでしょ?』
「わっ」
「うお!」
『(テツヤの気持ちが分かった気がする)』
「今ののどこがヒントなんだよ」
『かなり分かりやすいヒントだよ』
ミスディレクションを知らない人の方が多いからしょうがないかと、後ろに落ちたボールを拾う
あたしだってそんな言葉知らなかったんだから、みんな機会がなければ知ることもない言葉だったはずだ
「テツ、分かったか?」
「…さっぱりです」
『ちなみに今日のみずがめ座のラッキーアイテムは、本屋なのだよー!』
「それ緑間の真似か?」
「なんでボクがみずがめ座って知ってるんですか」
『…部員だから?』
拾ったボールをその場でドリブルし、後ろのゴールにシュートを投げる
リングに掠りもせずネットを潜り抜け、こちらに跳ねながら戻ってきた
「ダメだわ、オレまったく分かんねぇ」
「青峰君に分かるならボクにも分かる筈です」
『何その負けず嫌い。あながち間違ってないけど』
「おいそれどういう意味だよ」
『そのままの意味ですけど』
青峰に睨まれながら言われるとヤのつく職業から睨まれているみたいで怖かった。睨まれたことないけれど