第10章 体育祭
「は!?今欲しいもの!?バッシュか飯!持ってるやついねえか!?」
彼とテツヤが出会ってるならそのうち彼は1軍に来るだろうと思う
当の青峰はバッシュが見つからなかったのか、誰のか知らないがお弁当を持って走る。そんなに振ってお弁当が崩れないかだけが心配だった
次の組を見ると緑間と紫原が並んでいる。なんだかほかに並んでいる人が小さく見えた
「今日のおは朝で蟹座は3位!何もなければ負けるはずが…何、好きな飲み物だと!?」
「年収の高い独身男性~?体育祭に何求めてるわけ〜?」
緑間の好きな飲み物はお汁粉。この時期売っているのはあまり見たことないが勝てるのか
そして紫原のお題は恐らくあの先生だろうなと結婚適齢期を過ぎた女性の先生が浮かぶが、何も言わないことにした
『テツヤが1軍に来るの、楽しみにしてるよ』
「ありがとうございます。でも、次の試験で行けて2軍かと」
『そうとも限らないんじゃない?』
テツヤは黙り込む。高校生の彼に比べ少し感情表現が分かりやすい気がした
彼は向上心が高いが、今のままでは1軍に行けないことは察していると思う。だからと言って手助けはしない。どちらにしろ来るのだから平気だろうと考える
視界の端で紫原はバスケ部のコーチを。緑間はどこから見つけて来たのかなんとかお汁粉を持って走っている。1位ではないが悪くない結果だと思う
「次に走るあのモデルの人って名前さんの彼氏ですか?」
『急にどうしたのテツヤ』
「いえ、一緒にいるところを見たので」
『普通にしゃべってただけだよ』
「赤司君は」
『その噂消えたと思ってたんだけどなー』
全力で否定する。彼はそれ以上問い詰めることもなく「そうですか」と言ってどこかを見る
何を見ているんだろうと同じ法を向くと、すごい速さで黄瀬がこちらに走ってきていた
「名前っちー!!来て!」
『え』
「呼ばれてますよ」
『う、うん。ごめんねまたね』
テツヤに手を振って涼太の元まで走ると手首を掴まれ引っ張られる
ああこんなことが午前中もあったようなと、彼は何を引いたんだろうと思いながら今日2度目の全力疾走をした