第10章 体育祭
次に出る競技は短距離走。そこまで時間があり応援席で座って待っていると急に重力を感じる
誰かが肩に肘をつき、前で腕を組んでいる。手の大きさですぐに誰か分かった
『重いよ紫原』
「暑いね~名前ちん」
『じゃあ離れなよ、余計暑くなるって』
そう言うが彼は離れようとしない。放っていると髪の毛を指か何かで巻き付ける感覚がする
「髪いつもと違う、自分でやったの~?」
『ううん、友達』
「名前ちん友達いたんだ」
『失礼な』
「器用だね~オレ細かい作業ダメだからさ~」
『まあ手が大きいしね』
「名前ちんなら何でもできそ~」
『征十郎か』
本当に何でもできる彼は今次に行う借り物競争の準備を手伝っている
自分自身も出ると言っていたのに大変だなと思っていると、ちょうど借り物競争出場者の集合アナウンスが入る
「あーオレ借り物競争出るんだよねー行かなきゃー」
『紫原も?征十郎も出るって言ってたよ』
「峰ちんもミドちんも、さっちんも出るって」
『おいおい大集合だな、そういえば虹村先輩も出るって言ってたかも』
涼太も借り物競争に出るようなことを言っていたし。大集合だなとのんびり考える
「じゃあ行ってくる。応援してね~」
『違う組だけどがんばってね』
今回は1年男子から始まるらしく、先頭のあたりに青峰が並んでいるのが見える
応援するかと観覧席へと移動すると、意外と人が多く隣の人とぶつかってしまった
「すみません」
『いえ、あ、テツヤ』
「名前さん。この間はありがとうございました」
『いいえ、あれから無理してない?』
「はい。最近は1軍の青峰君と練習してます」
『そっかあ、そうだよね』
ちょうど話題の人が借り物競争のスタートを切る。足が速い青峰はあっという間にお題の紙のところに辿り着き1番に引いた