第10章 体育祭
集合時間には居るよう口酸っぱく担任が言っていことを思い出す
このまま向かえば遅れて怒られてしまうだろうと焦る気持ちもあるが1人でないので怖い気持ちは半減している
『そろそろ集合時間ギリギリだよ。行こ』
「あ、忘れてたっス」
『なんのために起こしてもらったと…走らないと間に合わないかなあ』
木陰から抜け出し駆け出したが、あたし追い抜かした涼太は、パッとあたしの右手首を取り走り出した
「いくら足が速いからってオレより速くはないッスよね!しっかりついてくるんスよ!」
『待って!足!足もつれる!』
「大丈夫っスか?集合場所遠いんスから、頑張るっス!」
『む、無理!』
「そんなこと言わずに!」
足も無理だがそれよりも周りの目と女子からの視線がきついと、なるべく顔を見られないように下を向こうとしたときにふと気づいた
まだ涼太がピアスつけてないことに。そりゃそうかと1人で納得しているとスピードが緩んだ
「はい到着ッス!いつもより速かったッスよね?」
『うん…助かったよ、もう2度としないで…』
「名前っち見たことないくらいゼーハーしてる」
『そりゃそーよ…!』
そんなこんなであたし達は征十郎に睨まれた気がしなくもないが何とか間に合った
開会式が終わり、応援席に座っているとなぜか知らないが涼太が後ろに立って髪をいじり始めた
『なんで涼太に髪いじられてるんだ?』
「そりゃ体育祭だってのに髪下ろしてる名前っちが悪いっス!絶対まとめた方が動き易いっスよ」
『まあそりゃ結んだ方がいいのは分かるけど』
「てか名前っちの髪綺麗っスね!サラツヤ~って感じ」
『ソリャドーモ』
「棒読みひどっ!」
後ろで涼太がやっぱ編み込みは可愛いっスよねーとか言いながら周りの女の子を巻き込んでキャッキャしている
されるがままのあたしは綱引きに出ている紫原をぼーっと見ていた。適任だなと考えながら、することが何も無くまた1つ欠伸をした