第10章 体育祭
そんな出来事から特に進展なく、体育祭の日がやってきた
クラスごとに色で分かれて戦うのだが、征十郎と涼太と同じクラスのあたしは赤組になった
暑すぎて出番がまだのあたしは木陰で涼んでいる。なぜこういうとき校舎には鍵がかかってしまうのか
体育委員が一生懸命準備し、生徒会がマイクテストをしている様子を見ていると目の前に征十郎が現れる
「フォークダンスは覚えたかい?」
『サボっていいかな』
「ダメに決まっているだろう」
『やー…もう十分練習したからお腹いっぱい』
「ダメだよ。参加してくれ」
運が良いのか悪いのか、最初のダンスのペアは征十郎になってしまった
ほかにも組内で選抜されたダンスとかもあるのだが、フォークダンスは全校生徒が参加しなければいけないらしく大勢の親の前で踊らされるのが大変嫌である。思春期だもの
「準備に行ってくる。集合時間にはちゃんと来てくれ」
『ほい。学級委員頑張ってねー』
暑いが、木陰に吹く風は心地よかった。うるさい環境であるにも関わらずウトウトしていると溜め息を吐きながら誰かが歩いてくる音がする
「あー!#NAME1#っち!なんか喋るの久しぶりっスね!」
『…涼太』
「なんか眠そうスね」
『寝不足』
「そーなんスか。じゃあはい!」
涼太が隣に座り、太ももをポンポン叩いている。寝ろという意味なのだろうか
『背中汚れちゃうよ』
「えへ。じゃあ肩でどっスか?」
『…肩なら、まあ』
周りから見たら何か言われそうだがここなら大丈夫だろうと思い涼太の肩に寄り掛かる
『涼太って涼しい太って書くよね』
「そうっスよー!」
『全然涼しくない』
「さすがに温度は管理できねえっス…」
『なんか話してよ。恥ずかしいじゃん』
「えーそうっスねえ、この間の撮影の時の話なんスけどー」
自分の知らない世界の話をされそのまま目を閉じる
耳元で話されていたので眠れないかと思ったが、人の声に安心したのか意外とすぐに眠ることが出来た