第2章 赤いカレ
ずっと塀が見えるなぁなんて考えていると、車の動きが遅くなっていく
外をふと見てみると大きな建物と今のあたしと同じくらいの子達がその建物へと入って行く
しかも周りにはたくさんの高級車が停車、往来しており驚かされる
「到着しました」
『はい。ありがとうございます』
「この後職員室へ行けば担任の先生がクラスを教えてくれるので」
『それは自分で行かなければダメです…よね?』
「ご案内致しましょうか?」
『…何階のどこにあるのかだけ、教えてくれますか?』
「もちろんです」
運転手さんは私の不安気な顔を見て頭を撫でてくれた。そんな子供じゃないんだけれども…まあ、いいか
その後、ものすごく丁寧に教えてくれたおかげで場所はある程度分かった
ただ場所が広くなければの話、そう敷地内が広くなければの話だ
『ここどこ…』
広いにも程があるってくらいに広い。この間やっと雪さんの家に慣れてきたって言うのに…記憶がごっちゃになりそうだ
ふと溜め息を吐くと大丈夫かと、声が掛かってきたため前を向くと赤い髪が揺れていた
「名前じゃないか、そうか今日から転校してくるんだったかな」
『(会うタイミング…!)』
「まあ、同じ制服を着ていることからそれは察しがつくが」
『え、あ、うん?』
「職員室まで迷っているのかい?」
『う、うん』
「こっちだ」
やばいイケメンに優しくされてる…!なんて馬鹿な考えをしつつも、赤司からどこか優しくない目で見られていることを感じとった
スタスタと歩き出す赤司の後ろをあたしは小さく溜め息を吐いてからついて行くと、周りの女の子達が赤司の関係を疑問に思ったのか首を傾げているのがよく目に入る
ああ、幼い頃から彼は人気なんだと思いながらまだ小さな彼の背中を追いかけた