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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第69章 卒業式





「おはよう、ちゃんと花は挿しているようだね」

「おはようございます。答辞の確認終わったんですか?」

「ああ、最終確認だからね。すぐ終わったよ」


そもそも彼の書くもの用意するものでダメだと言われたことを今まで見たことない気がする

去年の卒業式も送辞で色んな人を泣かせていたのは記憶に深く刻まれており、今年もそうなるのではと想像していると珍しくジャケットを着てネクタイを締めている大輝が現れた

彼は何も持たず本当に身一つの状態で、唯一ポケットの中に携帯が入っているくらいじゃなかろうか

というか最近も卒業式の練習だからこんな感じだったなと最近の彼を思い出していると、大輝はそのまま手を上げる


「おう、相変わらずはえーなお前ら」

「青峰、なぜ手ぶらなのだよ」

「今日持って帰んの上履きと卒業証書くらいだろ、さつきのカバンで十分だわ」

「なんで私のカバンに入れるの!」

「いいだろどーせ方向一緒なんだから」

「いーなー、オレも手ぶらで帰りたいなー…」


本当にこれから卒業式なのか分からないくらいいつも通りの彼らと話していると、いつもよりきっちりした姿の担任が現れた

HRで彼は大輝が卒業まで来れたことに既に泣きそうになっていたが、「卒業式を前に泣くわけには行かない」と耐えていた

そうして体育館に移動を始め、何度も練習した卒業式の本番が始まる

入場の際にバスケ部の後輩から手を振られ、保護者の席で雪さんと征十郎のお父さんが一緒に座っているが見えて思わず足が止まりそうになった

卒業証書をもらい、省きに省くと征十郎の答辞が始まろうとしている


「答辞、」


一瞬後ろの方の席で、つまり後輩から悲鳴が上がったが一体何だったんだろうか
きっと後輩の中で征十郎はアイドルなんだろうと納得させ、彼の答辞を聞く

気がつけば周りでも後ろでも鼻を啜る音が聞こえてくる
ああ、今年もかと泣いている周りとは反対に笑いながらしっかりと最後まで聞いた

その後、退場の際にバスケ部の後輩たちが大号泣していたのは征十郎の答辞のせいなのか分からないが、彼らの男泣きに大笑いしながら手を振って退場した






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