第10章 芽生え
『でさー、そこの観覧車を先にー』
『いやジェットコースターだろそこ』
!ど、どうしよ、人来ちゃった
見知らぬ人に泣き顔見られたくはないなぁ
『み、緑間、人来ちゃった』
「うずくまればいいのだよ」
『それ周りから見たら変な子だよ!』
「はぁ…仕方ないのだよ」
胸にあたしの顔をギュッと押し込む緑間
『・・・どーゆこと?』
「こうすれば一応だ、抱き付いてるように見えて不自然じゃないのだよ」
『…相手側緑間かぁ』
「悪かったのだよ」
『じゃ、不自然じゃないようにしますね』
その言葉通り不自然じゃないように緑間の背中に腕を回す
「!
な、何するのだよ!」
『え、だって不自然じゃないようにしてるんでしょ』
「顔が近いのだよ!」
『抱き付いてるんだから当たり前じゃん
というか緑間、顔赤いよ』
「なんでもないのだよ!」
『…で、…だから』
『…も…けど…』
来た人達は通り過ぎたようで、声がどんどん小さくなっていった
『ふぅ、ありがと緑間
今日はみんなに助けられちゃったなぁ』
「ミドリン… #NAME1#ちゃん」
『あ、さつき
速かったね、空いてた?』
「うん、お昼時すんだから…じゃない!
何ミドリンと抱き締めあってたの!?
しかもそのあとの満円の笑み!」
『あ、さっき人が来て、泣き顔見られたくないから
隠してもらってたの』
「背中に腕を回してたのは!」
『カモフラージュ』
まさかさつきにまで本気にされるとは、誤解が解けたようだから良いけど