第68章 ちゃんと考えてるよ
クラスメイトに挨拶をしながら教室に入ると緑間が立ち上がりこちらに歩いてくる
「ようやく来たか」
『おはよう緑間』
「ミドちん何持ってるんのー」
「苗字と桃井へのお返し。入浴剤だ」
『今年も!?いや、いいけどさ』
「入浴剤ならば形に残らないからいいと思うと母に言われたのだよ
去年も渡した際センスがいいと言っていたからな」
「確かに王道ですよね。いいと思います」
「えー食べれないじゃん」
文句を言う紫原はさておき、テーピングが巻かれた彼の手から受け取る
去年はラッキーアイテムの花の香りの入浴剤だったがどうかと開けると、どうしてそういう組み合わせにしたのかわからない香りの入浴剤が入っていた
「私の桃の香りの入浴剤と森林の香りだ!ありがとうミドリン!」
『え…なんであたしオレンジと海?え、オレンジはともかく、海の香り?』
「遠慮せず使うといいのだよ」
『…ありがとう』
心の底からどうして海の香りを選んだのか分からないが、入れたら塩の香りがするのだろうかと好奇心が湧いてくる
お汁粉の香りとかじゃないだけ全然いいかと受け取ったのを同じようにしまうと、背後から声がかかる
「おはよう、何でそんなに緑間を囲んでいるんだい?」
「赤司君!おはよう!今ミドリンからお返しもらってて」
「ああ、桃井、良かったら受け取ってくれ」
「ありがとう赤司君…え、これすごい高いお店のカヌレじゃない?」
「それほどでもないさ。名前にも」
『ありがとう』
今年はアップルパイじゃないのかと思い彼のカバンを見ると既製品のクッキーが詰まっている
他の子たちへのお返しだろうかと考えながらもらったラッピングされているカヌレを撫で、美味しそうだなと意識を逸らす
同じクラスの子からももらっていたらしい彼はそのクッキーを配っていく
赤司様と崇められる彼を眺めていると、またも後ろから声がかかった