第67章 雪遊び
「はー、さみーしラーメン食って帰ろうぜ」
『中華まんは?』
「あー、食ってから行くか」
「餃子と半チャーハンもつけよーっと」
「えー、寒い日はオニオングラタンスープっスよ」
「腹たまんねぇからいらねぇ」
「お汁粉」
「腹たまんねぇって」
「バニラシェイクはどうですか」
「こんな寒いのに飲めないっスよ!」
『いや寒いならお風呂入りに帰ろうよ』
「何言ってんだメシ食ってからストバス行くに決まってんだろ」
なんてコイツらはバスケバカなんだと呆れていると征十郎も顎に手を添え何かを考えているのに気が付いた
流石に冷えたので「風邪ひく前に帰ろう」とか諭してくれるのだろうかと、彼に声を掛ける
『どうしたの征十郎』
「湯豆腐が食べたいなと」
『そっち!?』
「腹たまんねぇって」
さっきからそれしか言わなくなってしまった大輝に大笑いしながら、結局ラーメンを食べに行く流れになった
まあこんな寒い日にはちょうどいいかと考え最後尾を歩き始めると、マフラーを巻いているにも関わず首筋が急速に冷える
『つっめた!』
「野太い声だね」
『…ごめんね可愛くなくて』
振り返って確認すると征十郎の手だったらしい
行き場がないまま変なところで浮いているそれを睨みながら、自分のマフラーをきつくしめる
『急にやめてよびっくりするじゃん』
「思い出作りだ」
『…は』
「思い出作り」
先ほど言ったあたしを真似しているのかと気が付き、隣を歩き始める鼻先が赤い彼に溜め息を吐く
『もう十分あるでしょ』
「言い始めたの名前だったじゃないか」
『言い訳だよ』
「そうだね、言い訳だ」
何を言い訳しているのかなんて分からない。いや、分かっているけど分からないふりをしているのかもしれない
賑やかなままラーメン屋に行ってラーメンを食べ、今度はストバスコートに行ってストバスをした
その後、あんなに体が冷えたのに誰も風邪を引かなかったのは流石だった