第67章 雪遊び
そんな幸せな空間だったのに頭に何かが当たり、急激に冷たさが伝わってくる
何事かと振り返ると涼太が両手に雪玉を持って笑っていた
『あたっ、冷たっ!』
「そんなとこで固まってたら狙いやすいっスよ!」
『…参加した覚えないんですけど?』
「今から参加すればいいじゃねぇか、もちろんさつきもな」
「え!私もやるの」
『ボッコボコにしてやる、行くよさつき』
「同盟組もう!青峰君に負けないからね!」
そうして参加した雪合戦はとんでもなかった
バスケットボールサイズに雪を固め投げる緑間がいたり、影の薄さを利用して背後に行って背中に雪を入れるテツヤがいたり、横に跳びながら投げてそのまま雪に埋もれる大輝がいたり
負けるわけにいかなかったのであたしは涼太と紫原を盾にして参戦したが結局雪玉には当たってしまう
寒さを忘れるくらい遊んだが、流石にずっと続けていると指の感覚がないくらい冷えてきた
「制服びしょ濡れになったっス」
「テツが背中に雪入れるから…」
「オレもデカいからたくさん当たったけど平気だよ〜?」
「テーピングが濡れてしまったのだよ。巻き直さねば」
「赤司君全然濡れてませんね」
「避けてただけだよ」
それが普通できないんだってと思いながら彼だけ濡れてないのはなんだか腑に落ちない
冷たいとかも分からないくらい感覚のない手で雪玉をつくり、白いマフラーを巻き直している彼に近づいてほっぺに当てた
『えいっ』
「何するんだ名前」
『思い出作り』
「…そうか」
「もしかして思い出作りって言えば赤司何でも許してくれんのか」
「そんなわけないだろう」
これでいいかと納得したあたしは制服についた雪を払い、乱れた髪を直す
両手を重ねてあっためていると段々自分が冷えていることに気が付いてきたが、彼らは違うらしい。誰かのお腹が鳴っていた