第67章 雪遊び
雪うさぎを眺めていると、さつきが小さな声であたしの名前を呼ぶ
「名前ちゃん」
『はい』
「あのね、私ずっと名前ちゃんにお礼が言いたかったの」
『…お礼?』
さつきは少し距離詰める。今さら何だろうと顔を向けると、彼女はこちらを見ずもう1つ同じように雪うさぎを作り始めていた
「名前ちゃんが監督になってからギスギスしていた雰囲気も良くなって、サボってた青峰君も練習に来てくれて…すっごく嬉しかった
それに、今こうやってみんなで居られることが夢なんじゃないかってたまに思うんだ」
『…うん』
「だからね、ずっと名前ちゃんにお礼言おうと思ってたの。ありがとう」
『…さつき、あたしは名前だけの監督だっただけで、やってたのはただのマネージャー業だよ』
「でも名前ちゃん、救うために監督になったって…」
『ソンナコト、イッタ?』
さつきがこちらを見る。桃色の目がいつもより大きく開かれきょとんとした表情していた
そしてふっと彼女は笑い出し、口元に手を添える
雪を触っていたから指先が赤いなと思いながら、あたしも笑う
「ふふ!それなら仕方ないよね!」
『でしょ?あたしは何もしてないから、言うだけ損だよ』
「でもありがと名前ちゃん」
『…どーいたしまして』
彼女が笑っていてくれていて本当に良かったと、もう何度感じたか分からない幸せをかみしめた