第66章 本当は
放課後、和成と妹にチョコを渡すため去年と同じく公園に向かう
近づくとボールをドリブルする音が聞こえてきて、もう到着しているのかと駆け足で行くと和成がシュートを放っていた
『和成、ごめんお待たせ』
「名前ちゃん久しぶり!」
『はいチョコ』
「相変わらずサッパリしてんね」
『褒め言葉だね、ありがとう』
「んじゃこっちも。オレのと妹のな?」
『相変わらずお上手で』
「名前ちゃん程じゃねーけどな」
彼からはブラウニー、妹からはパイの中にチョコが入ったものだというものを受け取り、十分過ぎるほどの女子力を持った和成に驚いてからベンチに並んで腰を下ろす
夕焼け空が綺麗だなあと視界を上に向けたままベンチに寄り掛かる
しばらくすると首が疲れてきたので下を向き再び溜め息を吐くと疲れがドッと出た感覚がする
何歳なんだと自分で心のなかでツッコんでいるとや隣にいる和成が笑っていた
『…何がそんな面白いの?』
「名前ちゃん溜め息吐きすぎ…ブハッ!」
『溜め息吐いただけでツボはいるの?』
「いや、そんな溜め息つかねーだろ…ハハッ!」
腹を変えて笑う彼は相変わらず沸点が低いんだなと思いながらそのうち落ち着くだろうと呼吸の心配はせずに待つ
予想通り彼は復活し、足を組みながら少しこちら側に寄ってきた
「なんか悩み事か?聞くぜ」
『悩み事?いや悩み事ではないんだけど…』
「恋の溜め息っつーの?してたけど」
『…そう?』
「合ってる?」
『…いや、うん、そうね』
「マジ!?オレで良ければ聞く!つーか聞かせて!」
『う、うーん』
なんだか彼には話しやすかったので和成に名前は伏せてざっと軽く説明した
ただもう小学生から一緒とか言ってる時点で相手は分かってしまうだろう
それでも彼はこちらの気持ちを汲んでくれているのか、気付かないふりをしたままあたしの話を聞いてくれる