第118章 あげるよ
「#NAME1#」
『はーい?』
「じゃんけんしないか?」
『…は?』
「嫌なら良いのだが」
『い、いや別にいいんだけど
どうせ征十郎が勝つでしょ?』
「ならしようか」
『え、あ、うん。じゃーんけん、』
あたしが出したのはグー、征十郎が出したのはチョキとまさかのあたしが勝ってしまった
…ちょっと待て!赤司征十郎初の負け方がこんな呆気なくていいのか?いいのか!?
予想外のことに慌てていると征十郎がフッと笑い、少し落ち着けた気がした
「やはり負けたか」
『ちょ、天帝の眼(エンペラーアイ)使ったの!?』
「エンペラー…?なんだいそれ、使ってないよ」
『あああそうだった!征十郎に勝っちゃったんですけど、どうすればいい!?
切腹!?両の眼くり抜く!?』
「…何もしなくて構わないのだが」
『だって無敗に勝っちゃったんだよ!?
しかもじゃんけんっていう簡単なもので!』
「当の昔に#NAME1#には負けているさ」
『いや勝ったことないんですけど』
なぜか征十郎は溜め息を吐いてカバンを持ち直し少し耳を赤くして歩き出してしまった
それを追いかけているとき白いものが降ってきて、それを瞬時に雪だと判断できた
『雪、』
あたしや物に当たってしまうと溶けてしまうそれはとても儚く、なぜかその光景が目に焼き付いた
前の征十郎の誕生日にもこんなのあったなぁと思いながら、しばらくあたしはそこから動くことができなかった