第66章 本当は
「苗字先輩、これもらってください!」
『あ、ありがとー!乗せて!そんでこっから1つ持ってって!』
「苗字!約束の友チョコ!」
『今受け取れないから上に乗っけておいて!』
「…すごい量だね」
『大量に持ってきて正解だったよ』
「前見えてる?」
『ギリギリ』
そのまま歩いているとまたもチョコをもらう
手作り品もあるから全部食べ切れるかなと心配をしながら貰ったチョコレートを落とさないように歩幅を小さくして歩いていく
階段を登っていると後ろから走っている足音が聞こえてくる。なんだなんだ涼太ならタックルしないでくれと考えると、横でピンク色の髪が揺れた
「名前ちゃん!おはよう!」
『さつきおはよ』
「…大丈夫?前見えてる?」
『うん。ごめん教室着いたらドアだけ開けてもらっていいかな』
「教室着いてからチョコ渡すね」
『そうしてもらえると助かるよ』
両手が使えないため仕方なくさつきにドアを開けてもらい教室の中へと入ると、誰かが驚いた声を出し視線を感じる
そりゃこれだけチョコを持ってれば注目を浴びるかと、机にぶつかることがないよう細心の注意を払いながら進む
「さつき、そいつ誰だ?モッテモテじゃねーか」
「名前ちゃんだよ?」
「男子じゃねぇのかよ!」
『そんなこと言ってないで助けてよ』
「手伝ったら分けてくれるー?」
『もちろん』
「じゃあ手伝う~」
『ありがとー』
紫原がひょいっと持っていた大量のチョコレートを持ち上げてあたしの机に置いてくれた後どれをもらうか厳選していた
まあ全部食べて食べて太るのもニキビが出来るのも嫌なのでくれた子には悪いが紫原に渡すのが一番だろう