第8章 夏祭り
周りに帝光中の生徒がいたりし、見られていないか心配だったがそもそももう夏休み。歩いてる人すら少なく、杞憂だったようだ
また変な噂だけ流れてしまっては困ると1ヶ月ほど前の帝光祭の事を考えていると、征十郎がつぶやくように話し始める
「家出るときに行ってらっしゃいなんて、久々に言われた気がするよ」
『…それで昨日様子おかしかったの?』
「そうなのかもしれないね」
『また来れば?雪さんも待ってると思うよ』
そんな理由かと少し心配していたのかホッとする自分がいる
「#NAME1#と雪さんは似てるね」
『そう?』
「母さんにプレゼントをくれたじゃないか」
彼はりんご飴が入っているのか、カバンをポンポンと叩く。確かに雪さんも写真を渡していてあたしもりんご飴を渡していたが、そんなことで似ていると判断すべきなのか疑問だ
けれどそれを否定しても違うと思うので、彼のカバンの中のりんご飴がこれから上がる気温で溶けないかが心配になる
『この暑さで溶かさないようにね』
「気を付けるよ」
そうして急に決まったお泊りは終わりを迎えた
翌日、征十郎が一晩供えた後にりんご飴朝ごはんとしてを食べたという話を聞いた
それでお手伝いさんたちは慌てなかったのか、消費期限は大丈夫だったのかが心配だったが問題なく部活をこなした彼を見て大丈夫そうだと安心する
あっと言う間に夏休みは過ぎていき、全中当日がやってくる。帯同マネージャーに選ばれなかったあたしは征十郎からの「優勝した」というメールで全中優勝を確認したが、そもそもこれは知っていること
これからが本番だと気を引き締めながら、もうすぐ始まる2学期に向けて準備を始めた