第66章 本当は
翌日、バレンタインがやってくる。今年はそのキセキの世代を始めとする顔面スペックが高い人達が卒業だからか戦のレベルが違う
校門をくぐり、上履きに履き替えようと昇降口に向かうと女子の人だかりができていた
「黄瀬くんの靴箱入らないんだけど!?」
「大丈夫!机が…」
「ダメ!中いっぱいだった!」
「赤司先輩に、今年こそ私の愛を…」
「紫原くん見た!?まだ見てない!?」
「緑間先輩の靴箱もいっぱい…」
「青峰君の机が教科書でいっぱいだった!」
「サッカー部の元主将に…」
『…今日はテツヤと一緒に行動しようかな』
「苗字先輩!」
キセキと行動していたら死ぬかもしれないと直感していると前から声をかけられる
何事かと女子の大群から視線を前に向けると小動物みたいな女の子が居た
「苗字先輩!これ受け取ってください!」
『は、はい!?』
「憧れてて…応援してます!」
『…ありがとう?』
「キャアアアア!苗字先輩にありがとうって言われた!」
『…』
「それじゃ、失礼しました!」
『あ、うん。どうもありがとう…』
どういうことかと思いながらもらったチョコをカバンにしまい歩いているとまたも後輩が現れる
「苗字先輩これ…」
『あ、ありがとー』
「苗字先輩!もらって下さい!」
『わー!ありがとー』
「あの、苗字先輩!良かったらチョコを…」
『うん。ありがとー』
普段男子ばっかりの空間にいたせいか女子に囲まれるのは嬉しいなと、少し気分良くしながら教室への道を歩いていく
既に鞄の中はいっぱいなのと斜めにいれるのは気が引けるので重ねて持つことにする
「苗字先輩!」
『はいはーい…え、男子の群れ!?』
「はい。男子バスケ部1軍選抜隊です!」
『あー…師匠と弟子の子を筆頭に?』
「いい加減名前覚えてください」
ざっと数えて10人、一体何の用だろうと首を掲げているとシックなラッピングを施された箱を目の前に出される
高くはないが有名なチョコレート、みんなで買ったのか大きな箱に入っておりキセキの世代含めたあたしへのプレゼントかと考えた