第66章 本当は
「落ち着いた?」
『うん。びっくりさせちゃったよね、ごめん』
「全然平気!それに名前ちゃんが本音で話してくれて嬉しかったよ」
『…うん。あの今日のことは、内緒に』
「名前ちゃんがそれを望むならそうするね」
『ありがとう。さ、チョコ作ろ』
「うん!」
湯煎を温め直しチョコを溶かすのを再開させる
さつきの生チョコの作業手順に間違いないか確認しつつ手際良く自分の作りたいものを焼いていく
作ってる間無心になれるのが丁度よく、何回焼く作業を繰り返したのかお店でも開くのかというくらい大量に生産してしまった
さつきの作ったチョコに対し自分が作ったチョコがずらりと並ぶ光景に腕を組む
『…作りすぎたかな』
「足りなくなるよりいいんじゃないかな?」
『そうだね、冷めたのからラッピングしてこっか』
「うん!名前ちゃんの1個味見してもいい?」
『…そうね、さつきのも食べとこうかな』
ドキドキしながらさつきの作った生チョコ1つ手に取り口にいれると独特の甘い風味が広がる
今回余計なものは入れてない。倒れる理由はないと飲み込み無事なことを確認し、安堵の溜め息を吐いた
『うん。美味しくできてるよ』
「本当…!?良かったぁ」
『これならみんなに渡せるね』
「うん、青峰君にもあげよっと」
安心したのかにこりと笑うさつきを見ながら可愛いなと考える
先ほどあたしが取り乱してしまったせいで思ったより外が暗い。あまり遅くなると不安だと、買い出しした袋からラッピング材料を取り出した
『さ、早くやろ。帰り遅くなっちゃう』
「もちろん!もうひと踏ん張りだね!」
そこからラッピングを施していき、紙袋詰め直す
すっかり暗くなりさすがに怖いのでさつきを途中まで送っていき、バレンタインの準備は完了する
夜なかなか寝付けなくて困ってしまったが原因は分かっているが、どうしようもない理由のため睡魔が来るのを待って就寝し明日を待つことにした