第65章 初詣で合格祈願
『…で、経緯を教えてくれるかな』
「なんのだい?」
『征十郎があたしの家に来ていた理由!初詣行くなんて聞いてないよ』
来る予定があったかと思い出そうとするが全く記憶にないし、冬休みの前に初詣に行くか聞かれ「気が向いたら」と答えた気はするが約束しただろうか
また生徒会やリレーの時みたいに忘れているだけだろうかと必死に脳みそを回転させていると、見かねた彼が説明を始める
「昨日みんなで、初詣に行こうということになったんだ」
『うん?』
「それで雪さんに連絡したんだ」
『いつも言ってるけど先にあたしに連絡して!?』
「なぜか名前には繋がらなくてね、電源切ってたのかい?」
『あ、着信音がうるさかったから電源切ってた』
「相手は誰だったんだい?」
『涼太』
「…納得したよ」
頷く征十郎にあたしは携帯を取り出して電源を付けた
その瞬間メールの着信音が鳴り響き、逆方向に折ってやりたくなったが我慢する
そしてすぐに電話の着信音と共に黄瀬涼太という名前が画面に表示された
『…もしもし?』
「名前っち!死んでないっスか!?」
『なんで死んだことになってんの!?』
「だって名前っちと連絡繋がらなくて…」
『…だからって死んだことにするのはどうかと思うけど』
「ちなみに今日初詣なんスけど、来れるっスか!?」
『征十郎と向かってる』
「えーオレ迎えに行こうかと思ったのに!浮気者!」
『せめて付き合ってから言ってくれる?』
「付き合ってくれるんスか?」
『ない。じゃあね』
携帯を耳から離し通話終了をしてから再び電源を落とす
今頃も多分電話が来ているのだろうけど、無視しようと手提げの中へと仕舞いこんだ