第115章 遭遇
黙ったまま時間がどれくらい経ったかは分からないが、恐らく長くはない
虹村先輩はしびれを切らしたのか溜め息を吐いてこちらへ向き直し、あたしはどこからか来ていた緊張感から解放された気がした
「…さっきのこと、赤司とかは知ってんのかよ」
『恐らく知りませんよ。そもそも話してないんですから』
「橙崎先生とかは?」
『多分知らないかと』
「じゃあなんで俺に話したんだよ」
『…何でなんでしょうね』
「はぁ!?」
『何となく、なんだと思います』
数少ない頼っても大丈夫な人、恐らくあたしはだから話したんだろうなぁと軽く納得してから少し口元を緩めた
きっとこの人はあたしだけに守らせるようなことをさせずに一緒に守ってくれるんだとも、少し考えた
「なら俺に全部話せよ」
『それは嫌です』
「…何なんだよお前」
『人間ですけど』
「そういうことじゃねぇよ!」
『じゃあ宇宙人です』
「だからそうい…そうなのか!?」
『地球も宇宙の中の惑星ですから』
「お前俺のこと馬鹿にしてるだろ」
『はい』
「否定しろよ」
『素直だから無理です』
「どこがだ」
ツッコミをしてくれる人が居るっていいなぁと考えながらあたしと虹村先輩は会話を続けたが、1時間ほど話してじゃあな。と言って帰って行った
その会話が、あたしと虹村先輩で話した最後の会話になることを知るのはもう少し先の話