第64章 お呼ばれクリスマス
「去年、一緒に星座見たね」
『あの時はまだ夏の終わりだったっけ、今はオリオン座出てるよ』
「冬だからね」
そのまま上を向いて歩いていると足元のへこみに気が付かず、思わぬ段差に体のバランスが崩れていく
ヒヤッとする心臓に痛みを避けようと反射的に受け身を取ろうとすると、横から腕が伸びてきて地面との衝突は避けられた
彼の肩に手を置いて体制を戻す。呆れたような表情の征十郎がこちらを見つめている
『ごめんねありがとう、上見てた』
「まったく、名前はよく転ぶね」
『足元だけ年老いてるのかも』
「そんなことあるわけないだろう」
『ないとは限らないよ』
「…ケーキが崩れてしまったかもしれない」
『大丈夫。味は変わんないって』
彼の容量の良さでどうせ崩れていないだろうと、再び歩き始めるとなぜか征十郎に腕を掴まれる
前に進もうとしたのに進めなかったことでまたもバランスを崩し振り返ると、泣いてしまいそうな彼と目が合った
「楽しい学校生活は送れたかい?」
『…聞いてたの?』
「ああ」
『送れたよ。今年は特にすごい1年だったね』
征十郎に握られていた手首が離される
一体何を聞きたかったんだろうと首を傾げていると、隣に並んだ彼が先ほどのあたしのように空を見上げる
一体どの星を見てるんだろうと少し視線を上に向けたが、何を見てるかなんて分からない