第64章 お呼ばれクリスマス
食事を終えて歓談をしていると、あっという間に時計の針が良い時間を刺していた
征十郎のお父さんが見計らってお開きにしようと提案してくれたため、あたしのマフラーと上着を取りに行った征十郎を置いて廊下を歩く
「橙崎の娘、良かったらもらってくれるか」
『…え』
隣を歩く征十郎のお父さんが手にしているのはラッピングされた細長い箱だった
何だろうかと、受け取っていいものか迷っていると、受け取れと言わんばかりに彼が近づいてくる
背後には壁しかない。受け取らない方が失礼かと手を差し出すとプレゼントであろう箱を乗せられた
『ありがとうございます』
「好みに合うといいんだが」
『プレゼントなら何でも嬉しいです』
「そう言ってくれるとこちらも嬉しいものだな」
雑談をしながら受け取ったプレゼントをカバンに仕舞い、玄関に辿り着くと征十郎が預けた防寒着2点と、いつかもらったようなケーキボックスを持っている
嫌な予感がすると思いながら彼の手にある上着に腕を通し、マフラーを巻くと持っていた箱を差し出された
「名前、ケーキ持って帰ってくれ」
『いや食べたから、2人で食べなって』
「8等分したからあと5切れ残ってるんだ。3つ持って帰ればちょうどいいだろう」
「持って行ってくれないと、征十郎と2つずつ食べなければいけないね」
「困るね、太ってしまう」
この親子はと似たような2人に笑っていると、昨日食卓に出たケーキも同じ理由でまだ残っているを思い出す
まあそれは勉強の合間に食べればいいかとケーキボックスを受け取り、靴を履いて2人に向き合った