第64章 お呼ばれクリスマス
約束されたクリスマス当日、今頃プレゼントをもらった子供たちは喜んでいるんだろうと笑顔の子供を脳裏に浮かべる
懐かしいなとサンタさんがまだ来てくれていたころの自分を思い出しながら、彼の家に行こうと玄関を出ると門の前に白いマフラーを巻いた赤い髪が立っていた
色合いがまるでサンタさんみたいだと思いながら彼に近づく
『中入ればよかったのに』
「勝手に入ったらまずいだろう」
『いや前勝手に入ってきてたし来るなら連絡してよ。いつから待ってたの?』
「さっき来たところだよ」
という割には鼻の先が赤い。彼の優しい嘘なんだろうと分かっているが指摘せずに彼と共に歩き出す
模試の結果がどうだったとか受験生らしい話をしていると会話が途切れた
あとなんか話題あったかな考えるが、普段話しすぎて特に話題がない
「昨日、何食べたんだい?」
『ケーキとチキンとか、あとは雪さんが作ったやつ』
彼の振ってくれた話題をそのままキャッチボールするが、いまいち彼が聞きたいことの真意が分からない
一体何を品定めされているんだろうと考えていると、こちらを向いていた彼の視線が前を向く
「父が楽しみにしていてね」
『あー…帝光祭の時の、絶対社交辞令だと思ってたんだけどね』
「去年も来ただろう」
『いやまた来てくれが社交辞令だと思ってたんだよ』
去年呼ばれたのはお礼を言いたいと彼の父親が自ら語っていた
なぜ今年はクリスマスに呼ばれたんだろうと、征十郎のお父さんの思考を自分なりに考えてみたが雲を掴むようなもの
今更怒られることはないだろうが何かあればその時でいいかと、いつもより主張の激しい心臓の音を聞きながらいつも彼と歩く道を逆方向に歩いた