第63章 冬休みは受験勉強?
「名前っちナイッシュー!」
「すごいです。まさかシュートとは」
「苗字!スカートの中黒いの履いてんじゃねえよ!」
『いや履くわ。なんかあったらいやだし、そういう人がいるから履くんだよ』
「…絶対履いたほうがいいっスよ」
メンバーとハイタッチを交わす。間違いなく彼らと比べたら小さいんだが、なんだか自分の手が小さく感じた
そんな思考は放棄し、これで得点は3対3だと一息吐いて征十郎の前に戻ると、彼は讃えているのか拍手をしている
「流石だね」
『ちょっと手抜いたでしょ』
「受験前だ。さすがに本気は出せないよ」
『…そういうことにしといてあげるよ』
まあいいかとそのままバスケを続けたが、3ゲーム目くらいで疲れてしまったので「休憩」といってさつきの隣りに座る
その流れで彼らも休憩に入るらしい
「青峰君ときーちゃん、また1on1やってるよ」
「いつものことですね」
「まったく受験生と思えないのだよ」
「…なんか受験も卒業も、実感できないなぁ」
隣りでさつきが笑いながら競い合っている涼太と大輝を見ながら言った
彼女の言うことは間違いない
あと何度見れるか分からないこの光景に、なんだか胸の奥が重くなる
『…そうだね、このままみんなでずっと中学生してるのもいいかもね』
「ずっと中学生をやるならせめて受験終わったあとがいいですね」
「合否出たあとなら勉強しないでいいしねー」
「バカなことを言うな、そんなこと出来ないのだよ」
『はは、別にたとえ話くらいいいじゃん』
緑間の真面目さに笑いながら飲み物を1口飲む
未だ1on1をやってる彼らにも水分補給するよう指示し、雑談が途切れたところで征十郎がボールを持った
「そろそろ再開しようか、時間は大丈夫かい?」
「まだおやつの時間にもなってないっスよ!」
「ほら、早く次やろうぜ」
『待ってあたしまだやるの』
「名前っち行こ!」
『せめてハンデちょうだいよ…』
そのまま彼らのバスケに日が暮れるまで付き合うことになり、体の疲れを感じながら明日から冬休みで良かったと学校に感謝する
でもすぐに征十郎と約束したクリスマスパーティーがあるんだよなと彼らには内緒にしている約束を思い出しながら、「良いお年を」と彼らと別れた