第112章 守られる人
「拾ってくれたって…#NAME1#っちがッスか?」
『前あたしの家に勉強会来たときに表札見なかったの?』
「…見なかったッス」
『見とけよ』
普通は他人の家の表札確認しろよ。とツッコミを口に出した
が、涼太は相変わらず驚いた表情でこちらを見ていて、あまり良い気分はしなかったがとりあえず話を続けることにした
「つまり#NAME1#っちは本当の両親に…その」
『うん。捨てられたんじゃないかな
あたし本当の両親から虐待されてたらしいし』
「虐待って、あの虐待ッスか!?」
『多分。ものすごく薄いけど跡残ってるし
海行ったとき気づかなかったでしょ?』
「確かに何も気づかなかったッスけど…それより、多分って…?」
『記憶にないんだよ。本当の両親との記憶が』
いや、ある。前世ならバリバリある
本来のこと言うとトリップしてきた時に拾われたみたいだからこっちの世界の両親をよく分かってないだけだし…まあ会えないのは悲しいけど
小さく溜め息を吐き下を向きつつ前髪の隙間から涼太を盗み見るとあたしを同情の感情を込めた視線で見ていた
『まあ、嫌な記憶が無いと考えれば別に良いんだけど
あっても良い記憶なんて無いに等しいだろうし』
「#NAME1#っち…」
『あたしは#NAME4#さんと#NAME5#さん両方に似てないから…世間には拾われたってあまり良いイメージはないだろうけどね』
笑って涼太に言うと、むしろ彼が泣きそうな顔であたしをギュッと抱き締めてきた
その行動に、あたしも泣きそうになったのかもしれない
少しだけ、鼻がツンとした