第63章 冬休みは受験勉強?
「ついでにウィンターカップの中継を見ようか」
『うん?そっちが本命でもいいくらいだけどなぁ』
まあいいかとしばらく歩いていると彼の足が止まる
何事かとつられて足を止めると、征十郎が胸の前で手でグーを作り笑っていた
「#NAME1#」
『はーい?』
「じゃんけんしないか?」
『…は?』
「いやならいいよ」
『い、いや別にいいんだけど…え?なんで?どうせ征十郎が勝つでしょ?』
「ならしようか」
『え、あ、うん。じゃーんけん、』
ぽんのタイミングであたしが出したのはグーだったが、征十郎が出したのはチョキとまさかのあたしが勝ってしまった
予想外の事態に赤司征十郎、人生初の負け方がこんな呆気なくていいのかと慌てる
そんなあたしを見ている征十郎がフッと笑い、なぜそんな落ち着いているのかが不思議になった
「やはり負けたか」
『え、天帝の眼使ってないの!?』
「エンペラー…?なんだいそれ、使ってないよ」
『あああそうだった!
えー…征十郎に勝っちゃったんですけど、どうすればいい!?切腹?両の眼くり抜く?』
「…何もしなくて構わないよ」
『だって無敗に勝っちゃったんだよ?しかもじゃんけんっていう簡単なもので』
「#NAME1#にはとうの昔に負けているさ」
『…いや勝ったことないけど』
征十郎は溜め息を吐いてカバンを持ち直し歩き出してしまう
それを追いかけているとき白いものが降ってきて、それを瞬時に雪だと判断できた
『雪だ』
あたしや物に当たってしまうと溶けてしまうそれはとても儚く、その光景が目に焼き付く
前の征十郎の誕生日にもこんなのあったなぁと思いながら、なぜかそこから動くことができなくなってしまった
「行こう、#NAME1#」
『えーごめん勝ったショックで動けない』
「何言ってるんだ」
笑いながら足を動かし再び離れてしまった彼との距離を縮める
来年は何あげようかななんて考えながら、彼と一緒に帰路を歩いた