第62章 たまには中学生らしく
「プリクラのメール届いた!取ったらみんなに送るね!」
『ありがと。待ってるね』
「せっかくだし私待ち受けにしよっかなー!」
「いいっスね!オレも待ち受けにしよっかな!」
「見られたら恥ずかくね?ぜってぇムリだわ」」
「全然平気っスよー」
「えー姉ちゃんに見られるのやじゃねー?」
「2人いると弟に人権ないんスよ」
なんかそれは想像できると、自分の携帯を開いた
初期設定のまま変わっていない壁紙を変えようかと考える
『あたしも待ち受けにしようかな』
「えーお揃いにしよ!」
「オレも!一緒にどれがいいか選ぼ!」
さつきと涼太に挟まれて、画像のダウンロードした彼女の携帯を見ながらどれがいいかを話し合っていると、視線を感じて振り返る
征十郎がこちらを見て微笑んでいた
何だろうと夕日に照らされた綺麗な笑顔に微笑み返してから前を向き直して2人と会話をし、また一緒に遊びに行けたらいいなと願いながら、受験の事も忘れ彼らと一緒に帰路を歩く
段々少なくなっていくメンバーに何だか心の片隅で寂しい気持ちを感じながら、帰りはいつも通り征十郎が送ってくれるらしく隣に立った
「送ってく」
『ありがとう』
「怖くなかったかい?」
『ナンパの話?大丈夫だよ』
「本当に?」
『うん』
「嘘は良くないね」
彼の言葉に足を止める。つられて征十郎も足を止め、こちらを見た
「気づいてるのはオレくらいだと思うよ。いたとしても黒子くらいだろう」
『…そう』
彼の言っていることが本当かどうかはどうでもいいが、あの時現れた彼らに安堵したのは間違いない
でもあの時の男たちの表情も面白かったと思い出し笑いをしていると、まだ征十郎があたしのことを見ていることに気が付いた