第111章 最後の全中
そこから始まったのは互角とは言い難く、一方的と言うわけでもないがどこから見ても帝光が勝つと断言できる試合だった
それでも明洸は諦めず、帝光も手は抜かずにそれぞれ楽しんでいる
テツヤと荻原くんはその中で特に無邪気に笑って試合をしていて、見ているこちらまで笑顔になれるようなものだった
『あと2分か…』
「この調子なら帝光勝てそうだね!」
「つまり3連覇達成ッスね!」
『…涼太は、この試合に勝ったら嬉しい?』
「当たり前じゃないッスか!
どんな試合でも勝てたら嬉しいに決まってるッスよ!」
『そっか』
真っ直ぐ試合を見つめる中した質問は周りから見たら変な質問、あたしからして見れば重要な質問だった
この質問の返答によっては今までやって来たことが無駄になる。ということも過言ではない…と思う
《試合終了ー!!帝光優勝ー!!
そして前人未到…全中3連覇達成ー!!》
「…よし」
「やったッス!」
「フン…人事を尽くしたのだから当たり前なのだよ」
「そんなこと言ってる緑間笑ってんじゃねーかよ」
「峰ちんもね~」
「と言うよりも、みんな笑ってますよ」
「みんな!おめでとう!」
「優勝おめでとう黒子。楽しかったぜ!」
「荻原くん…僕も楽しかったです」
『…終わったか』
今出ている選手達のところへとベンチから走り出した涼太とさつき、全中優勝をそれぞれが笑顔を浮かべて喜んでいるキセキ達、念願の試合が出来て喜んでいるテツヤと荻原くんの笑顔
それすべてを視界に入れながらあたしはベンチの背もたれに寄り掛かって溜め息を吐いた
これでもうあたしの仕事は無くなって、あたしが元の世界に戻っても大丈夫