第62章 たまには中学生らしく
『あ、ちょうど良かった。見て、友達』
「…は?」
『みんなイケメンでレベル高いでしょ?』
返事をしない彼らは次第に変な汗をかき始める
そりゃあ2m近い男たちが揃っていたらそうなるかと見ていると、彼らは諦めたらしく回れ右をし、ついでに腹いせなのかあたしを押した
『わっ』
バランスを崩し倒れるかと思ったが、いつの間にか近くにいたテツヤが支えてくれたので倒れるなど心配していたことは何もなかった
「最初から男いんなら言えやブス!」
『ブスっつーなら最初からナンパすんなあーほ』
「名前、喧嘩を買うな」
『いや正論でしょ』
そのまま去っていく彼らを確認出来たので安心し溜め息を吐いた瞬間、なにかが抱き着いてくる
また涼太かと思ったが細い腕と柔らかい体にさつきだと気が付いた
「ごめんね、助けてあげれば良かった」
『ううん。みんな呼んで来てくれたんだよね、ありがとう』
「まさか苗字がそいつらを連れてくると思わなかったけどな」
「焦って損したのだよ」
「ボクのこと気が付いてなかった気がします」
「あーオレすっげー見られた」
『モデルがいるって言ったら喜んでたよ』
「ぜーったい勘違いしてるっスよねそれ」
彼らが現れた時の男たちの表情面白かったなと、彼らの呆気にとられた顔を思い出し1人でくすくすと笑う
友達が女とも男とも言っていなかったのでこっちの説明不足もあるが、勘違いしたのはあちらだ
もうこの場所に用はないので外に出ると、部活だったらまだ練習中の時間、太陽が高い建物の陰に隠れている
この間まで夏だったのに早いなあと季節の移り変わりを感じながら、ゲームセンターを後にした