第62章 たまには中学生らしく
「そろそろ外も暗くなってくる時間だね、帰ろうか」
「夕飯の時間あるもんねー」
「紫原君まだ食べるんですか」
「えーだってさっき食べたの昼ごはんでしょー?」
「私まだお腹空いてないよ…」
確かにたくさん食べたせいかまだお腹が空くような感覚はしないし、デザートならまだしもご飯系の何かを食べようとは思えない
帰るならトイレに寄ってこうと思い案内版を確認し、征十郎の肩を叩く
『帰る前にトイレ行ってくる』
「あ、私も行く」
「ついていこうか」
『なんでよいらないよ。行こさつき』
そのまま用を済まし、さつきのことを待っていると目の前に2人組の男が現れ声を掛けてくる
高校生くらいだろうかと少し背の高い彼らの事を見るが、普段いるメンバーが大人っぽいせいか幼く見えてしまってしょうがない
「ね、一緒にゲームやらない?いやならカラオケとかでもいいよ?」
「他にも友達いる?いたらその子も誘っていいよ」
『…』
見た目は普通だが軽いノリの男たちに、視界の端でトイレから戻ってきたさつきが怖がっている
視線で先に戻るようにと送ると、最初は渋っていたが埒が明かない状況を彼女は理解したらしく駆けていった
そんな彼女を確認し、流石に店内で蹴り飛ばすことも、今日の服装で技をかけることも出来ないなと考えたあたしは彼らの案にのることにする
『いいね、遊ぼっか』
「おっ、ノリいいねーそうこなくっちゃ」
『友達いるから、その子たちも誘っていい?』
「もちろん!」
『じゃあ行こ』
「友達ってどんな子?」
『モデルもいるよー』
「マジ?レベル高いね」
『でしょー』
彼らを連れて歩き出し中身のない会話にケラケラと偽物の笑顔を浮かべていると、またも男たちが立ちはだかる
しかし今度現れたのはさつきが読んで来たであろうカラフルな頭たち
珍しく焦った表情を浮かべる彼らに安堵と共に、予想通りの展開に内心ガッツポーズをする