第111章 最後の全中
「#NAME1#ちん大丈夫~?」
『…多分大丈夫』
「それ超不安なんだけどー」
簡易ベッドの上に上半身のみ起こした状態に頭には包帯という痛々しい格好で居るあたし
ベッドの脇にはパイプ椅子に座った紫原が呆れた目をしてこちらを向いていた
「#NAME1#ちんってさ、バカだよねー」
『紫原より成績いいんですけどー』
「だって去年帝光祭が終わってからぶっ倒れた時も自分で全部責任負ってるわけでしょ~?
他にも言いたいことはあるけどさー、今回だって俺らに言えば良かったわけだしー」
『…選手を怪我させる訳にはいかないし
それにみんなに守られるのは嫌だ。あたしはみんなを守りたい』
「そんなこと言わないでさー、もっと俺らのこと頼ってよ」
ハッキリと思っていることを伝えたあたしを壊れ物のように抱き締める紫原
そう言っている彼の声は少し不安な声色をしており、あたしはふとある質問をしたくなった
『紫原はバスケ、好き?』
「別にー」
『じゃあ嫌い?』
「…嫌いじゃないし」
『そっか』
ギュッと紫原を抱き締め返してその返答から素直じゃないことが分かり、本当にバスケが好きなんだろうと推測できた
…まあ、じゃないとゾーンには入らないんだけどさ
「#NAME1#ちゃん!」
『さつき、試合は?』
「あと数分で終わりだから来たんだけど…次、#NAME1#ちゃん出れる?」
『出るに決まってるでしょ
これが、最後なんだから』
「#NAME1#ちゃん…!」
タンッと綺麗な音を立ててベッドから降りるが、その際に足がジンジンしたのはカッコ悪いので言わないでおく
カッコつけるんじゃなかった!と後悔していたりもしました