第62章 たまには中学生らしく
「今のねえっスよ!」
「えーでも入ったものは入ったじゃん」
「試合時間じゃねえしノーカンだろ」
「試合時間内に撃ったシュートは決まれば点になりますよ」
「これはバスケじゃねえんだよ」
「え~でも入ったよ~?」
何とも言い難いが得点板は両チーム同じ点数を表示しており、真ん中に引き分けを意味する英単語が点滅している
こういう時は得点板が正しいのだろう。四隅にマレットを片付けた彼らがこちらへ戻ってきたのでここから長引かなくて良かったと思いながらプリクラを手渡した
「わー名前っちとのプリクラ!ありがとっス!」
「なんでオレの顔ひげついてんだ」
「…ボクの周りハートが書かれてます」
『それはさつきが書いた』
「へへ、ぴったりでしょ!」
「なんで百戦百勝って書いてあるの~?」
『やっぱ書いておいた方がいいかなって』
「これは名前が書いたのか」
「桃井が書くとは思えないのだよ」
『…他に書くこと思いつかなくて』
印刷されている彼らはいつもみるより目が大きくなって肌が白くなり、小顔になっていてなんだか笑ってしまう
もちろんさつきとあたしも同じようになっているのだけれど、それはそこまで違和感がない
そんな見るだけで笑みがこぼれてしまうプリクラをなくさないよう財布に仕舞った