第62章 たまには中学生らしく
激しい攻防の末、同点のままBGMが変わる
これが最後の1球なのだと聞いただけで分かる音楽に、どちらが勝つのか予想できなかった
「いい試合だ。紫原と黒子のチームプレイが良く出来ている」
「青峰と黄瀬も悪くないがな、肝心なところで目立とうとするのがアイツらの悪いところなのだよ」
「私の勘だけど、この後きーちゃんはまだ成長する
でもテツ君も動き読めなくて…どっちが勝つと思う?」
「ポテンシャルだけで言えば黄瀬と青峰なのは間違いないが…黒子の意識していなかったところから出るアタックが強いからね」
「攻撃力の強さが自分たちに返ってきてるようなものなのだよ。攻撃は最大の防御というが、今回は違うようだな」
『ねえただのホッケーだよね?』
真剣な表情で分析する彼らに思わずツッコまずにはいられなかった
そんな間にも激しい攻防が繰り広げられ、プリクラを早く渡してしまいたいあたしはどうすればいいのか困ってしまう
しかし困ったところでこのゲームが終わるのを待つしかできないので、ただただ行ったり来たりするパックを目で追い続けた
「流石は紫原っち…なかなか決まんないっスね!」
「そう言いながらボクの方に打つのやめてください」
「おいおいテツ、そんなおせぇの打ってくれって言ってるようなもんだろ!」
「さっきそれで跳ね返されて点取られたの忘れたー?」
「忘れてねえっスよ!」
「…今の黄瀬の打撃、いいコースをついているのだよ」
「いや、紫原はゴール前のすべて守れる。跳ね返ってすり抜けない限りゴールは難しいだろう」
「でもそろそろ青峰君、調子上がってくるころじゃない?」
「そうだな、張り合ってる黄瀬もそれによって調子が上がるだろう」
もうツッコむ気力も無くなってしまったやり取りと台からなるBGMを聞き流していると、急に音楽が止まってしまった
そして先ほどまですごい勢いで往復していたパックも空気が出なくなったからか急にスピードが遅くなり、打ち返そうとしていた大輝は空振りしそのままゴールへと入ってしまう