第62章 たまには中学生らしく
「紫原、脇を締めろ」
「えー、こう?」
「締めすぎかな」
「ムッ君…バレーとバスケはすごいんだけどね」
『頑張れ紫原』
「誰かオレのことも見てほしいっス!」
長い手足が邪魔しているのか当たってもあまり飛ばない紫原に対し、涼太は先ほどの征十郎ほどではないがいい感じにボールを飛ばしている
彼は先ほどもやっていたし、紫原がバスケ以外のスポーツをやっているのが体育以外でなかなか見れないのでそちらについ注目が集まってしまった
「あ、飛んだ!」
「同じ感じで繰り返すといいよ」
「おっけ~」
ゆるく返事した彼は先ほどまでが嘘のようにボールを飛ばす
パワーがあるからか軽々飛ばしているように見えるが遠くに飛んでいき、涼太を超えている気もする
そのまま軽々こなした彼はいつも通り戻ってきたが、入った時あんなに笑顔だった涼太は肩を落として戻ってきた
「2人とも、すごかったです」
「…でも紫原っちに見せ場取られたっス」
「えーごめんねー」
「きーちゃんのこともちゃんと見てたよ。いい感じに打ってたよね」
『うん。安定してたね』
「…名前っち見ててくれてたんスね!」
『あー見てた。見てたからくっつかないで』
くっついてくる涼太を引き剥がすと彼らも飲み物を買いに行く
運動した後飲み物を飲むのはもう癖になっているんだろうかと思いつつ次は誰が行くのか様子を伺っていると、急に静かになる
それを感じ取った涼太が買ったペットボトルも開けず、走って戻ってきた
「もー!緑間っちやろーよ!」
「オレはいいのだよ」
「いいからいいから、はい」
「青峰君ももう1回やれば?その次私と名前ちゃんやるから!」
『待って聞いてないんだけど』
「ま、ストレス発散にはいいかもな」
「青峰君にストレスなんてあるんですか」
「あるに決まってんだろ」
涼太に押されて入っていく緑間と、バスケをやる時ほどのやる気はなさそうだが自ら入っていく大輝を見送る
先ほど大輝は少し見たので、緑間から見てみることにした