第62章 たまには中学生らしく
下の階に比べて静かな空間に聞きなれた2人の声が響いている
土曜日なのに他にお客さんがいないのかと見たが、同年代の男の子たちがちょうど出ていくところだった
「ちょっと2人とも勝手にいなくならないでよ!」
「連絡しただろ、黄瀬が」
『来てたけど、気づかなかったらどうすんの』
「だから名前っちに送ったんスよ!」
『だからの意味がよく分からないんだけど』
今回は気が付いたし良いかと会話をしながら思っていると、涼太がバットを振った
ボールが綺麗に当たったのか高く飛んで行ったらしい。ネットの高い位置に当たったボールは地面に落ち、マシンの下へ吸い込まれていく
「オレこれなら青峰っちに勝てるっス!」
「バスケじゃ勝てねえけどな」
「高校入ったら青峰っちのことギャフンと言わせてやるっス!」
「その前に受験だけどね」
「う…」
忘れかけていたが征十郎の一言でそうだあたし達は受験生だと現実が戻ってくる
よほど2人に刺さったのか両社ともボールを1球見送ってしまい、彼らの後ろで転がっていた
「ボク、バッティングやったことないんですよね」
「オレは兄貴とやったことあるかな~」
「私もないかも、ミドリンあるの?」
「ラッキーアイテムがバットの時に持ったことはあるのだよ」
『それやったに入らないからね』
みんな小学生の頃からバスケばっかだったんだろうなと彼らの知らない過去を想像していると、テツヤが財布の中身を確認する
そのままキョロキョロと周りを確認しながら口を開いた