第61章 退院祝いパーティー
うどんを食べた後ケーキを食べ終え次のケーキを取りに行こうとすると、チョコレートファウンテンの前に大輝が立っていた
特に何もせずただ見ているだけの彼に「どうしたのか」と問いかけると、左手にパスタを持った彼が振り返る
「オレこのチョコが出てくるヤツに顔突っ込んでみたかったんだよな」
『絶対やめて』
「小学生の頃だっつの」
『ああ、うん。今でもやりそうで』
「やんねぇよ」
しかし彼の言っていることの気持ちは分かる
少しだけ食べてみるかと近くにある竹串を取り、蓋を開けてイチゴとマシュマロを刺しチョコレートの滝に突っ込んだ
これは子供がハマりそうだともう一個同じものを作り同じことをしていると、いつの間にかさつきが少し後ろで目を輝かせている
「そのチョコレートのやつ私もやりたい!」
『うん。どうぞ』
「えーどれにしよう、クッキーにチョコかけるのもいいなぁ…」
「変なもの突っ込むなよ」
「ここにあるもの以外にチョコかけないよ!」
流石に今ある食材にチョコをかけるくらいじゃ彼女の料理のセンスでも問題ないだろうと、少しヒヤヒヤしながら見守る
来年のバレンタインこういうのならさつきでも作れるんじゃないかと考えていると、上手く出来たのかニッコリ笑っているさつきがいた
「見て!出来た!」
『うん。良かったね』
「チョコかけただけなのになんでこんな可愛く見えるんだろうね」
『あー、何でだろうね』
確かにただのイチゴよりチョコがかかったイチゴの方が可愛く見える気がするなと透明な蓋の向こう側にある赤いソレを見ながら考える
別に答えを求めているわけではないので理由は出なくていいと思いながら、お目当てのケーキを見に行くとテツヤがカレーをよそっていた
『カレー美味しい?』
「まだ食べてないんですが紫原君が美味しいと言うので、選んでみました」
『へー、ちょっと食べようかな』
「パスタも美味しかったですよ」
『スイーツバイキングなのになんでみんな食べ物ばっかすすめてくるんだ?』
こういう時は男子中学生らしいなと考えながら子供が食べるくらいの量のカレーをお皿に乗せて、その横にパスタを置く
なぜかテツヤからピザも一切れ乗せられ、ここは本当にスイーツバイキングなのかと首を傾げながら席に戻った