第61章 退院祝いパーティー
『…お汁粉あったよ緑間』
「当然なのだよ」
「いや普通無いっスよ」
「苗字、オレのコーラ」
『あるって、はい』
「オレのクリームソーダはー?」
『あるって!配られる前に自分で取ってもいいんだからね?!』
「めんどくせぇな」
こちらも見ずに食べて進める青峰と紫原に怒りが湧いてくる
勝手に取ってきたのはこちらだが、母親ってこんな気持ちなんだろうかと心の炎を鎮火しようと試みていると、飲み物が動いた
「いいよ名前、オレが渡す」
「赤ちんありがと~」
まったく食べることにしか脳が働いてないのかと彼らに冷たい視線を送りながらみんなの飲み物を配る
それを終えて席に着くと先ほど持っていたものに加えて飲み物を持ったさつきとテツヤが戻ってきて、彼女の桃色の目が大きく見開かれていた
「もう食べてるの!?みんなで乾杯しようと思ったのに!」
「なんの乾杯だよ」
「名前ちゃん退院おめでとー!って」
『いやいいよ目立つし、たかが骨折だし』
「もう…じゃあ2人で乾杯しよ?」
「オレも!オレも乾杯したいっス!」
「せっかくだしやろうか」
「ボクもいいですか」
気が付けばさつきもテツヤも席について全員コップを手に持っている
緑間だけスープ用の陶器なのがツボに入りそうだがなんとか我慢して、利き手にティーカップを持った
「じゃあ名前ちゃんの退院を祝って、かんぱーい!」
掛け声とともに陶器とコップがぶつかる音がする
別にここまでしてくれなくていいのにと思うが嬉しいのが本音、さつきにだけ後でお礼を言っておこうと思う