第61章 退院祝いパーティー
「名前ちゃん!可愛いー!」
「なんか髪くるくるしてんな」
「服も可愛い!いっつもそんな感じでいればいいのに!」
『ありがとう。涼太がやってくれた』
「きーちゃんすごいね!」
「それほどでもないっスよ」
でもいつもこの格好はいやだなと自分の服装を改めて見る
自分でも見慣れていない服装なんだから、彼らにとっても見慣れないかと昼の割に大きい影が足元に落ちた
顔をあげると予想通り紫原が立っている
「あれれーオレが1番最後―?」
「時間内だ。問題ないよ」
「だよねー朝ごはん食べてないからお腹空いたー」
『本当に食べないで来たんだ…』
まさに有言実行だと笑いながら全員揃ったことを確認する
場所はさつきと涼太が分かっているようなので彼女たちに任せていいかと甘えることにし、そのまま紫原の横に並び歩き始めた
「名前ちんの髪、今日くるくるだねー」
『みんなちゃんと気が付いてくれるんだね』
「2年の学園祭の時みたーい」
『ああ…紫原が覚えてると思わなかった』
「オレも名前ちんもくるくるだったからー」
「紫原っちの髪もやろうと思えばできるっスよ!」
「…別にやんなくていいし」
彼に言われそう言えば彼のなんか縦ロールのウィッグを被っていたなと、そしてあの年も訳わからなくて面白かったなあと去年の帝光祭のことを思い出す
そんな思い出に浸っていると後ろを歩いていたはずの大輝が口を挟んできた
「飯食うだけなのに髪型変えてなんか意味あんのかよ」
『いや意味はないけど』
「青峰っち分かってないっスねー!こういうのは自分のテンションをあげるもんなんスよ!」
「青峰君に乙女心なんか分かんないよ!」
このバスケ部のメンバーで乙女心を分かってくれる人物の方が少なそうだ
そもそも異性の、いや他人の気持ちなんか分からないものだと苦笑いを浮かべた