第61章 退院祝いパーティー
『何?やりたいことって』
「今年体育祭で名前っちの髪いじれなかったから、髪アレンジしようと思って!」
『ほう?』
「ダメっスか?」
『いや、構わないけど…そのために早く来たの?』
「そーっス!」
ニコニコ楽しそうに笑う彼はあたしが出したお茶に口をつける
毎年毎年よくやってくれるなと思いながら、自分の長いオレンジ色の髪を指に絡めとった
「なんかしたい髪型とかないんスか?難しくなければ頑張るっスよ?」
『えー…特にない』
「じゃあ今回もオレの好きにしていいってことっスね?!」
『どうぞ』
「ちなみに名前っちってアイロン持ってたりする?」
『ストレートもコテも両方できるやつあるよ』
「へー!借りてもいいっスか!?」
『うん取ってくる。他何かいる?』
「ブラシとヘアクリップあったら嬉しいっス!」
『髪ゴムは?』
「あーじゃあそれも!」
『ほい』
雪さんがあたしの髪をいじりたいからと買ってくれたストレートも巻き髪も可能なアイロンを取りに洗面所へ行く
ドライヤーの横に仕舞われているそれと涼太から必要と言われたものに加え、巻き髪をする前にスプレーすると形がキープされるというヘアミストも必要かと持って戻ると椅子に座っていたはずの彼が立ち上がりウロウロ歩いていた
『どうしたの?』
「どこ使っていいかなって、平気な場所あるっスか?」
『どこでもいいけど、ソファのとこならコード足りると思う』
そこを指さすと彼が座れと言わんばかりに腕を引っ張られる
一体どんな髪形をしたんだと思いながらソファに座ると彼が後ろに回る
自分が持ってきたものをソファの空いているスペースに置いて、背もたれに寄り掛かった