第61章 退院祝いパーティー
「みんなでケーキ食べるの楽しみだなぁ」
授業が終わり、帰ろうと廊下を歩いていると隣を歩くさつきがそんなことを言う
後ろにいる紫原も「オレも〜」と同意を示しており、楽しみにしてるのはあたしだけじゃないのかと笑った
「オレも楽しみっス!名前っちのこと迎え行こうかな!」
『来なくていい』
「えー!いいじゃないスか駅まで一緒に行こ!」
『1人で行けるから、大丈夫』
「オレが名前っちと一緒に行きたんスー!」
「名前の迎えはオレ行こうと思ってたんだが」
『なんでよ、いらないよ』
「赤司っちは帰り送ってるからいいじゃないスか!よく一緒にいるし!」
「それ言うならきーちゃんだって名前ちゃんと3年間同じクラスでしょ?」
「1年の時は部活入ってなかったし!同じクラスでも全然一緒にいなかったっスもん!」
「部活が一緒だからって一緒にいるわけではないのだよ」
「一緒にいるじゃないスか!」
「…大変ですね名前さん」
『誰も迎えに来なくていいんだけどな』
騒ぐ涼太のおかげですれ違う同学年からまたやってるよという視線を向けられる
うるさくて申し訳ないという表情をしていると今度は同情の視線が刺さった
断られている涼太に同情しているのか、絡まれているあたしに同情しているのか分からないが、こういう時折れた方が早いことを分かっている
『ああもう、好きにすれば』
「やったー!じゃあ迎えに行くっス!」
「オレも行こうか」
『征十郎は来なくていい』
「青峰君は私と一緒ね」
「来なくていいっつの」
「寝坊してたら困るから行くの!」
この2人は変わらないなと笑いながら隣で喜んでいる涼太が当日何時に迎えに行くからと話している
本当に騒がしいなと思うが嫌なわけではない
ただもう少しだけでいいから大人しくなれないものかと大人しい涼太を想像したがなんだかぞわっとしたので考えを口にすることはやめた
そうして学校を出れば今日とてストバスコートへと連れて行かれ、さつきと2人ベンチに座りながらお店のラインナップを見て彼らの事を待つことにした