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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第60章 訪問と進路





とりあえずバスケに満足した彼らは日が落ちる前に帰ることになる

帰路、段々少なくなっていくメンバーに手を振っていると征十郎と2人きりになった


「送ってく」

『…明るいからいいよ』

「またあんなことがあったら、オレが後悔する」

『…』


確かに彼の言う通りなのでぐうの音も出ない。半日授業の日でも先に帰らない限りこの2年半家まで送り届けられた

こういうとき征十郎が引かないのはよく知っているので否定せず、彼と一緒に歩き出す


『まあ今回の件、向こうが空気読んで全中の後にしてくれて良かったよ』

「良くはないだろう」

『でも全中の前入院してたら全中行けなかったし?』

「…それは不幸中の幸いだろう。入院しないのが1番だ」

『虹村先輩からの格闘技教えてもらったし、最悪戦えるよ』

「有事の際使えなかったら意味ないだろう」

『…分かんないじゃん?』

「あの時動けてなかっただろう」


またも何も言えない言葉を言われて黙っていると、彼がくすくすと笑い出す

一体今のどこに面白い要素があったんだろうかと征十郎を見ると、視線に気が付き口元に添えていた手を下ろした


「すまない。思い出し笑いだ」

『思い出して笑えることあった?』

「昔オレが誘拐されたときは跳び蹴りしていたなって」

『あー…』


こちらの世界に来たばかりの頃、征十郎とまだ壁があったころの話をされて懐かしい気持ちになる

跳び蹴りをし足を引っ掛け、今思えば大人に頼るべきだったと反省するが、結果良ければすべて良しだと目を細めた


『…あの時は、助けるのに必死だったんだよ』

「オレも一緒だよ。あの時名前を1番後ろを歩かせるべきじゃなかったよ」

『もうあんなことないって、多分』

「言い切れはしないだろう」

『そうだけどさぁ…』


あの時の男はどうなったんだろうと空を見上げる。この世界からは血縁なのかもしれないがあたしからしたら他人だ

そもそも血縁なのかも、結局雪さんから詳しい説明はされていない。父親も想定の話である

少し暗くなるような気分に違和感が生じそうな手を後ろに回すと、隣の彼の腕を引っ張られた







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