第60章 訪問と進路
「名前さん高校決めたんですか?」
『あ、うん』
「やっぱり赤司君と同じ洛山に?」
『え…いや、誠凛』
「…本当ですか?」
『うん』
「ボクも誠凛です。受かれば高校も一緒ですね」
『じゃあ頑張って受からないとね』
「名前さんは成績が良いから大丈夫ですよ」
『じゃあ頑張らないで受かる』
「それだけはやめてください」
『ハハ、ごめんよー』
ツッコミに軽くに笑いながらやっぱりテツヤが誠凛行くのかと納得する
他の面々も進学先は知っている通りだった
さつきもマネージャーなのに桐皇に推薦をもらったと言っていたし、そこはきっと何か強い力が働いているんだろうと考えた
「テツ君お待たせ!」
「ありがとうございます。飲んだら参戦します」
「黒ちんこっち入れば~」
「おかしいっス!人数的にはこっちっスよ!」
「じゃあ赤司君のチームに」
「おかしいっつの!テツこっちだろ!」
変わらず仲良くバスケをしている彼らを見て笑みがこぼれる
それはさつきも一緒のようだと、彼女とベンチに並び座ろうとすると涼太が呼んでくる
「名前っち桃っち!こっちのチーム入らないっスか!?」
「ええ!?なんで?」
「そしたら4対4でちょうどいいだろ」
『さつき行っておいで、あたし病み上がりだからパス』
「あーそうだったっス…」
仕方なく1人でベンチに座り対決を始める彼らを見守る。こんな光景もあと半年ないのかと、時間が止まってほしいという気持ちが生まれる
けれどそんなことは出来ない。寂しいけどしょうがないかと弱気になると、また右手に違和感がある
ああ良くないなと上を向いて青い空を見てから目を瞑り、彼らのにぎやかな声を聴いていた