第60章 訪問と進路
その日の放課後、征十郎から命令されがまま生徒会室へとやってくると椅子に座らせられる
何事かと思っていると机の上に書類を置かれた
『何で体育祭書類の処理!?』
「休みの間緑間が名前の分の仕事をやったからな、名前には別のものを用意しておいた」
『しなくていい!』
「間に合わないと感じたらオレも手伝うから、頑張れ」
『なら最初なら手伝ってよ…』
ぶつぶつ言いながらペンを動かしてとりあえず書き込みをしていくが、とりあえず参加できなかったのに不公平だと感じた
書類を見ていくと優勝した組が書いてある
気になったので確認すると予想通り征十郎率いるうちのクラスが勝ったようで、相変わらず征十郎パワーすごいなと笑う
「ああ、見たのかい?」
『うん。優勝したみたいだね。これで征十郎体育祭3連覇でしょ?』
「そうだね」
『おめでとー』
「…あのクラスで優勝できないわけがないだろう」
確かに各部のエース級が揃っているうちのクラスは運動については間違いなく強いと思う
勉強については悪くないが…足引っ張る人がなと青い髪を思い出していると、征十郎が隣の席に座ってきた
「名前は、高校どこに行くんだい?」
『高校?』
「オレと一緒に洛山に来てほしい」
『…そうやって、帝光も誘ってくれたね』
動かしていたペンを止め彼を見る。他の人たちと違って彼の誘いは冗談ではなさそうだ
きっと彼と洛山に行っても楽しいんだろうなと小学校から今までを思い出せば容易に想像できる
『ごめんね征十郎、今回は一緒に行けないや』
「…そうか」
『う、そんな目で見ないでよ』
「名前は、どこ行くんだい?」
『入院中に話して推薦もらったし楽しそうだから誠凛に』
「新設校のか、名前なら洛山からの推薦も来ていたし十分な学力もあるだろう?」
『そうねえ』
「それにその方が雪さん達も喜ぶと思うが」
『…いいんだよ。近くに居られる方が、嬉しいと思ってくれるって信じてるから』
ふと浮かんだのは雪さんと雨さんの顔
あたしの顔とは全然似てない美形な2人だが、それなりに良い家族だと思っていると、背もたれに寄りかかった