• テキストサイズ

【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第60章 訪問と進路





「では、これで失礼するよ。足と腕、お大事に」

『わざわざありがとうございました』


そんな入院生活にも慣れ始めたころ、推薦の話をわざわざ病院に来てまでしてくれる人が何名か居て疲れが溜まっていた

確かに遠方から来てくれるのは嬉しいけどこんなパジャマ姿じゃ恥ずかしい

せめて退院してからにしてほしいと、誰もいなくなった空間に溜め息を吐く


『…飲み物買いに行くかな』


少し遠いがそれは仕方ないことだ。車椅子に乗って自販機が1番多い階へと目指してエレベーターに乗る

慣れない動作の末、ようやく辿り着いた自販機には先客が居た。待とうかと考えているとこちらに振り向く


「お、ごめんな」

『…いえ、大丈夫です』

「どれが欲しいんだ?車椅子だと押しづらいだろ?」

『上段のお茶をお願いしてもいいですか?』

「おう。これだな」

『ありがとうございます』


唯一使える左手でペットボトルを受け取り相手の顔を見る。何回も見たことはあるが、間近で見るのは初めての人が立っていた


「車椅子は動きづらいんだって聞いてるからな、ついつい放っておけなくて」

『片腕骨折してますし…まあ扱うのは難しいです』

「そうだろ?それより君、オレは今緑茶と烏龍茶で悩んでるんだが、どっちが良いと思うのか教えてくれないか?」

『…緑茶の方が効能が良いらしいですけど』

「緑茶だな。よし…あああ!!コーヒーブラックにしちまった!』


忙しい人だなと思いながら、受け取ったペットボトルのキャップをどうやって開けようかと悩んでいると目の前に居る人が開けてくれた

お礼を言うと後ろから足音が聞こえてきて、気になって振り向くと直接見るのは2回目の人達が現れる

先を歩いてくる彼は眼鏡を光らせながら鬼のような形相で、その後ろで「まーまー」と彼をなだめるキューティクルがつやつやな男の2人組


「お前は飲み物買うのにどんだけ時間かかってんだよ、木吉!」

「やあ、すまんすまん。この子が困ってたから助けてたんだ」

「この子…うお!バスケ部の聖母じゃねぇか!」

『お久しぶりです日向さん』


引退してもその呼び名まだ続いてるんだと思いながら、誠凛のエース、主将、副主将を見る

なぜこの場に揃っているのかと疑問に思ったが、木吉さんがインターハイ予選後入院していたことを思い出した






/ 704ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp