第107章 試着させてみた
『撮り終わったなら脱いで来ていい?』
「え」
『何か他にもあるの? 』
「キセキの世代に見せなくて良いの?」
『…当日見るんだからいいでしょ』
「彼氏なのに!?」
『どこの誰があたしの彼氏なんだよ』
あんな顔面スペック高いメンツの内の誰かとカレカノになったらあたしが殺される(主に征十郎と涼太のファンに)
横で1つに結ばれている髪をほどいて軽く手櫛をしてからジッとそれを見つめる
『あのさ、服より髪が浮いてない?』
「それなら大丈夫!
当日は焦げ茶のスプレー持って来るから!」
『え』
「今の写真は当日と同じ焦げ茶で加工しておくから大丈夫!」
『それで良いのか!?』
「良いの!」
『まあそれならいいんだけど…
それじゃあ作り終わったら外観係に渡しといてね』
「うん。お疲れさまー」
『お疲れ』
ドアノブに手をかけて人目に付かないよう、こそこそと廊下を歩いて女子更衣室へと目指す
そのおかげか誰にも会うことはなく目的の場所へと着き、あたしは安堵の溜め息を1つ吐いた
『…っし、売り上げ1位目指そ』
あたしは1人、更衣室の中でそう誓ったのです