第59章 引退と本物の
帰り道、今まで帰る時間が遅かったから日が出ている時間に制服を着て歩いていることに違和感を覚えながら歩く
『引退か…』
「まだ実感がないのだよ」
「高校になっても続けっしな」
「推薦どんどん来てるもんねぇ…」
「恐らく全中が終わったから増えるだろう」
「オレあーいうの苦手なんだよね~」
「ボクはそもそも来ませんから…」
『…幻の6人目も良し悪しだね』
気づかれてはいけないのがミスディレクションのため仕方がないことなのだが、レギュラーなのに推薦が来ないのはどうなんだろう
あたしも高校どうしようかなーなんて考えていると、生暖かい風が吹く
まだ夏全然おわらないなあと風によって乱れた髪を直していると、テツヤの視線がこちらに向いていた
「名前さんピアス付けたんですか?」
「ピアス~?」
「名前ちゃんがピアス!?」
「意外なのだよ」
「てか生徒会がやっていいのかよ」
「校則違反ではない。問題ないよ」
「みんなオレの時の反応と全然違うんスけど!?」
『犬だからじゃない?』
「いつになったらオレ人間になれるんスか…」
「見たい!見せて名前ちゃん!」
寄ってきたさつきに右耳に髪をかけ「はい」と見せると、涼太以外の全員移動して感想を述べ始める
「…このピアス黄瀬君のと同じですか?」
「そうっスよ!お揃い!」
「黄瀬君に聞いてません」
「ヒドッ!?」
「髪が長いせいか気付かなかったのだよ」
「…ま、似合ってなくはねーよ」
「峰ちん素直に似合ってるって言えば~?名前ちんによく似合ってるしー」
「そうだね。いいんじゃないか?」
『あー、ありがとう?』
「褒めてるよ」
『じゃあありがとう』
もう良いだろうと耳にかけていた髪を戻す
しばらく歩いていると、そのまま隣を進むさつきが「ねえねえ」と声を掛けてきた