第58章 守る人と守られる人
『あ、待って』
「なん、痛っ!えっ!耳?ある!?」
『あるわ』
涼太の意識を耳からずらした間にガシャンとピアッサーで穴を開けた
力が入っている方が痛いのか痛くないのかは定かではないが、あんなプルプルされていると絶対的から外れてしまうのでちょうど良かったと思う
テーブルの上にあったすでに柔らかくなり始めている保冷剤を彼の耳に当て、もう1度冷やす
「痛いっス…」
『右は?どうする?』
「右は…え~と、あ、やっぱ今度にするっスかね!」
『ピアス片方もったいないじゃん。付けてあげないの?』
「だって…びっくりしたんスもん…」
右側用のピアスと両耳にあけるつもりだったのか使われていないピアッサーを見てせっかく買ったのに使わないのかと、呆れた溜め息を吐く
『じゃあ涼太、あたしの耳にそのピアスつけてよ』
「い、痛いっスよ!?」
『だってピアス片方もったいないじゃん』
「う…じゃあ、どうぞっス…」
『そうじゃなくて、涼太がやってよ』
「オレがっスか!?」
『あたしが涼太のやったんだから開けてよ、自分の耳じゃ上手く出来ないし』
「名前っちを傷つけるなんて…できないっス!」
『いいから』
「…名前っちは女の子なんで開けるとしたら右耳っスよ。左だと同性愛者って意味なんスよ」
『…じゃあ涼太同性愛者?』
「男は右が同性愛者っス!」
『男女で違うんだ…』
「さっき説明したんスけど!?」
涼太ってそういう知識があるのにどうして勉強はダメなのかなぁと疑問に持ちながら髪をまとめた
鏡で自分の耳を見ながらここかなと言うところに油性ぺンで目印をつけ、氷で冷やす
冷たいから痛いに変わっていき、段々感覚がなくなっていくのは不思議な感じだった