第57章 最後の全中
これでもうあたしの仕事は無い。もう元の世界に戻っても大丈夫だと目からこぼれそうな何かをこぼさないように上を向いて留めておく
すると先ほど怪我をした際医務室まで連れて行った彼がなぜか1人ベンチまで戻ってきている
「名前ちーん、勝ったよ~」
『…お菓子ならホテル戻んないとないよ』
「え~」
「ほら名前っち!こっちおいで!」
『犬が人を呼ぶな』
「だから犬じゃないっス!」
「ほら、守るから行こー」
『…そうね』
仕方ないとベンチから立ち上がり紫原に手を引かれ、若干1名嬉し泣きしているがみんな笑っているコートへと向かう
7人がハイタッチをしたいのか片手を上げてきため、それぞれに笑ってからハイタッチをしていく
「名前っち目赤いっスよ」
『…頭が、痛くて』
「傷が開いたか、やはり病院に行った方がいいのだよ」
「はぁ?感動してさつきみたいに泣いてるだけだろ」
「泣いて何が悪いのよ!」
「えー名前ちん泣くの?感動して?」
『頭が痛くて』
「あとで病院連れて行きましょう」
「そうだね、脳に影響がないかも調べなくては」
『嘘だから本当にやめて』
思えば去年の今頃、大輝が才能開花したことで始まった
そんな問題があった1年間はあっという間で、きっとこれから過ごす残り半年の学生生活なんてもっと早く過ぎて行ってしまうんだろう
そんな彼らと一緒に閉会式に出て、あたしたちの全中は笑顔で終えることが出来た