第57章 最後の全中
『よし!ラスト、勝つよ!』
「「「おう!」」」
そうして始まったのは互角とは言い難く、一方的と言いたくはないがどこから見ても帝光が勝つと断言できる試合だった
それでも明洸は諦めず、帝光も手は抜かずにそれぞれ楽しんでいる
テツヤと荻原君はその中で特に無邪気に笑って試合をしていて、見ているこちらまで笑顔になれるようなものだった
『あと2分か…』
「この調子なら帝光勝てそうだね!」
「3連覇達成っスね!」
『…涼太は、この試合に勝ったら嬉しい?』
「当たり前じゃないっスか!どんな試合でも勝てたら嬉しいに決まってるっスよ!」
『そっか、そうだよね』
真っ直ぐ試合を見つめたまま聞いた質問は周りから見たら変な質問かもしれないが、あたしからして見れば重要な質問だった
良かったと笑っていると、試合終了の笛が鳴る
ぞろ目なんかじゃない、きっとお互い本気で行った試合の結果が得点板で光っていた
「試合終了ー!帝光優勝ー!!そして前人未到…全中3連覇達成ー!!」
「…よし」
「やったっス!」
「フン…人事を尽くしたのだから当たり前なのだよ」
「そんなこと言ってる緑間笑ってんじゃねーかよ」
「峰ちんもね~」
「と言うよりも、みんな笑ってますよ」
「みんな!おめでとー!」
「優勝おめでとう黒子。楽しかったぜ!」
「荻原君…ボクも楽しかったです。ありがとうございました」
『…終わったか』
今出ている選手達のところへとベンチから走り出した涼太とさつき
全中優勝をそれぞれが笑顔を浮かべて喜んでいるキセキ達、念願の試合が出来て喜んでいるテツヤと荻原君の笑顔
すべてを視界に入れたあたしは胃もたれが起きそうなほど幸せで満ち溢れている