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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第57章 最後の全中





それに気づいた瞬間血の気が引き、周囲のものが止まってるようにゆっくり動く。何をしたいのかは分かっていた


『…テツヤ!』


テツヤに向かってボールを持ったまま振りかぶる片割れ

恐らく原作とは違う理由で頭に来たんだろうなと、冷静に判断しながら全力で走った

彼の約束を今年こそ叶えてあげたい。気が付けばあたしは殴られそうになっているテツヤの前に立ち、片割れが殴ってくる姿が誰かと被って見えた


「名前さん!」


痛々しい音と共に殴られたあたしはコートに横たわっていた
頭を殴られたからか脳がくらくらし、世界が回っている

しばらくするとぼーっとする意識の中であたしを呼ぶ声が遠くから聞こえた。おかしいなすぐそこにいるのに

ふと殴られた部位に手を当てると血がついている
制服血で汚れちゃうなーなんて考えていたが、段々意識が戻ってくる

カラフルな頭たちが心配そうな表情で、あたしの周りを囲んでいた


「名前ちゃん大丈夫!?」

『…さ、つき、制服汚したくないからタオル持ってきて』

「制服よりも苗字の方が心配がなのだよ」

『はいはい…ちょっと起こしてくれる?』

「んー」


紫原に起こされ、征十郎とさつきに支えられる
こういう時はやっぱり背が近い方が助かるなあと思いながらテツヤを見た


『テツヤ、無事で良かった』

「…はい」

『じゃあ大輝、後半頼むよ』

「今言わなきゃいけねぇのかそれ」

『最後だもん。全力でやんないと…あ、やば』

「名前っち!」

『あ、ごめん』


クラッと立ち眩みが起きたのか傾いた身体、しかし前から支えてくれていた涼太のおかげで倒れることはなかった


「名前大丈夫かい?」

『ダメっぽい。ベンチで寝てていい?』

「ダメに決まってんだろ医務室行け」

「オレ連れてくよー、試合出てないし元気だからー」

「…ああ、頼んだ紫原」


体育館の端に行き、さつきに怪我した部位に応急処置をしてもらってから紫原に支えられながら歩いていく

流石に男子の本気の殴りは痛いなと顔を歪ませながら試合会場を後にした





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