第57章 最後の全中
試合を見ていると今度はブザービーターを決めた涼太と目が合う
これはどうすればいいのかと視線を逸らした瞬間にその黄色いのが飛んで来る
「名前っち!見た!?ブザービーターのスリーっスよ!?」
『見てた!汗臭いから寄らないで!』
「えー?タオルで拭いたらいいんスか?」
『何であってもやめて!』
「黄瀬ちんさすがにないわー…」
「ふざける前にドリンク飲むのだよ」
「オレは名前っち補給!」
『…次からの作戦を征十郎から』
「無視なんスか!?」
「そうだな…先ほどより少しパスを混ぜて行こうか」
「…赤司っちも無視なんスねー」
むぅーとか効果音が付きそうな表情をして膨れる涼太へ流石にドリンク補給しろと彼の手にドリンクを渡し、そのまま試合の流れを話し合う
「苗字、目が睨んでいて怖いのだよ」
『え』
「名前ちん威嚇してる猫みた~い」
『…猫でも何でもいいから試合のこと、せめてバスケに関係ある話しようよ』
「あ?苗字より猫の方がまだマシだわ」
『後で覚えてろよ大輝』
こんな砕けた会話を出来ているしもう彼らからプレッシャーは無くなったんだろうかと考えたが、先ほど征十郎の手が震えていたのを思い出す
話題を逸らして緊張を和ませているのかもしれない可能性もあることに気が付き、背中を叩いてから彼らを第2クオーターへと送り出した
その日の帝光中はまさかの両試合共トリプルスコアを叩き出し準決勝進出を決めた