第56章 全中前に夏祭りを
全中出場が決まってから夏休みの前日、部活は終業式だからと言って休みにしたが部活がなくてもキセキ達とは同じクラス。どうあがいても1日何回も会わせることになる
お昼食べてないからお腹空くなと考えながら机の中を空にするため教科書をカバンにしまっていると、なぜだかわらわら人が集まってきて囲われた
「みんなでお祭り行きたいっス!」
『…お祭り?』
「去年みんな会ったやつでしょー?名前ちん覚えてるー?」
『覚えてるよ』
「その夏祭りにみんなで行こうかという話になっているのか…いいんじゃないか?去年のようにならないようにね」
「赤司君…あれは仕方なかったんです」
「だからと言って、また去年のようになるのは嫌なのだよ」
「ごめんね私がクマのぬいぐるみを選んだから…」
『さつきも巻き込まれただけなんだから気にしなくていいんだよ』
椅子に座っているあたしを包み込むように後ろに立って抱き締めている涼太の腕を剥ごうと力入れなかなか外れず呆れの溜め息を吐く
暑苦しいと彼の腕を軽く叩いて緩んだ隙に外すことに成功し、下敷きで自分に生ぬるい風を送った
「オレは肉食えりゃ何でもいいけどな」
『あー、男らしい男らしい』
「…棒読みなのだよ」
「オレも明日は大丈夫かな」
「オレも~」
「ボクも大丈夫だと思います」
『あたしも大丈夫』
「じゃあ明日、お祭りの入口に集合ね!何時にする?」
「17時半頃が妥当ではないかな。混雑する前に集合したいからね」
「そうだね~」
なんだかみんなと一緒に出掛けるのがすっかり恒例になったなと思いながら、帰るためにカバンを持ちみんなで廊下に出る
窓が開いており、心地良い風が吹き髪を揺らす
ああもう1学期が終わってしまったのかと、濃いこの4か月弱を思い出しながら彼らと校舎を出て帰路を歩いた